AIR MONKEYの魅力を知って頂くために、元TBS王様のブランチリポーター「テキサス」こと後藤麻里奈さんが、商品を考案した石垣陽 特任准教授に話を聞きました。
石垣陽 特任准教授のプロフィール
後藤
本日はAIR MONKEYで環境が良い中でいろいろ質問させていただきます。よろしくお願いします。まずは職業、職歴、プロフィールを教えていただけますか。
石垣
電気通信大学(以下、電通大)の特任准教授をしております、石垣と申します。私は電通大を卒業したあと12年ぐらいセコムの研究所にいまして、安全安心に関わる防犯設備の研究をしていました。その後電通大に研究者として入って今に至ります。普段は環境測定に関わる色々な研究をコロナの前からしていまして、特に汚染物質PM2.5とか、室内のCO2、VOCとか色々な汚染物質の調査を国内外でやっていました。そんな中でコロナになったので、一転して災害時の即応研究ということでコロナ対策の研究をここ2年ぐらいしています。最初はマスクの研究をしていたりとか。
後藤
拝見しました。すごく画期的なマスクです。
石垣
自分で作られて高性能というマスクですね。
後藤
そもそもマスクのことを拝見して、随分フットワーク軽い方なんだなという印象を受けました。
石垣
前の職場が警備会社ということで、警備会社って25分以内に駆けつけるということが法律で決まっているんです。
後藤
CMはうそじゃないんですね。笑
石垣
それがすごい価値で。スピードがすごく大事だということは前の会社で学んだ事で、それで研究者になったので。。研究しててスピードが大事っていう人はあまりいないですけど。
後藤
素人的にも(研究者に対して)そういうイメージはないです。
石垣
だけどやっぱりこういった災害時とか非常時に対応できるっていうのも研究者の強みで、知識を活かすということを求められていると思うので。災害即応研究ということを重視しています。災害にすぐ対応できる研究です。
後藤
あー、なるほど。
石垣
福島の原発事故があった直後には、放射線の測定器が足りないということで、ポケットガイガーというスマホを使って誰でも放射線量が測れて、それをシェアして可視化してSNSで議論できるという線量計を開発しました。クラウドファンディングを使って世界中から支援を受けて商品になって10万台以上普及して、今でも売れていて、輸出もしていますし、製品として社会に浸透しています。安かったんです、最初1,850円という値段で出したので、多分世界で一番安くて、原発の事例も初めてで、スマホに対応していて、研究者発信の製品で。困っている時に欲しい物を早く適正な価格で作るという事が、僕みたいにものづくりをやっている工学の人たちにとっては求められる事なのかなと思いました。感謝の手紙をたくさんいただいて、いいプロジェクトだったなと思っています。
それがあったので、コロナでマスク不足の事態になった時に同じような感じかなと思いました。技術の分野はぜんぜん違うんですけどね。静電気を使って微粒子を捕集するということがわかっていたので、ジャンルは違えど僕にもできるんじゃないかなということでマスク作りを始めたのが、去年の2月です。
後藤
マスク作りで驚いたのが、先生はあまり商売的な部分は考えていらっしゃらないのかなという印象を受けました。オープンソース化されていたんですよね?
石垣
そうなんですよ。マスク作りは完全オープンソースで、実験データとかを公開してました。そういうのって、材料系の研究者からしてみたらありえないことで。まず特許を取っていいみたいな。
後藤
ですよね。
石垣
そうなんですけど、そんなことしていたら時間がかかるし。学会発表なんかしていたらコロナ終わっちゃいます、とまでは言いませんけど、欲しい人のところに早く届きませんよね。それよりも、研究者の役割としての道を切り拓くというところだと思うので。というのも、私には恩師が2人いて、1人は私が社会人になって通っていた多摩美術大学の太田先生なんですけど、緑色の非常口のサインを発明した人なんですね。ISOという世界標準になっていて、多分世界 に何億枚もあります。芸術とデザインと工学が融合した完璧なデザインなんです。ですが、先生1円ももらってないんですよ。1枚1円のライセンス取っておけば、何億円とか何百億?笑
後藤
億万長者じゃないですかー。笑
石垣
もうそれを放棄して、それよりも普及することが大事だとおっしゃって。その先生はそれで教授になられて、企業とも共同研究されたりして、きっとプライスレスな友人関係なんかも築かれていて憧れです。いい研究は売れる研究もあるんだけど、売れない研究もいい研究もあるんだよという。もう1人の恩師は、この電気通信大学の田中先生です。その人は避難準備情報という法律のアイディアを作られた方なんですね。避難準備情報ってご存知ですか?
後藤
なんとなく聞いたことがあるような。
石垣
今、言い方は変わったのですが、早期に災害の情報を提供すべきだということを提唱されて、内閣府で審議されて、採択されて法律になって、年間何千件って発出されて多くの人が情報を得ることができているのですが、それも1人1円もらったら。笑
後藤
え、田中先生も?
石垣
1円ももらっていない。笑
後藤
我々みたいな一般人からするとそういうものは政府の人が考えてるのかなと。
石垣
そういった普及するものを世に広めるというのは、学者冥利に尽きるというか、いつかそういう研究がし たいなと思っています。マスクとか放射線センサーは宮城県で被災した工場で作って売ってもらっていて、そんなに大きなビジネスではないですけど十分やっていけるぐらいにはなっています。
後藤
めちゃめちゃ世直しですね。世のためにっていうのをメインに感じます。
石垣
人類のための研究室、とちょっと大げさに言っているんですけど、そういう研究ができるといいなと思っています。まだまだです。
後藤
社会人になって多摩美術大学に行かれたというのは、自ら工業デザインを学びたくてということですか?
石垣
そうですね。エンジニアリングだけ突き詰めていっても、世の中に普及できる仕組みとかものづくりって難しいなと思って。例えば大げさな話ですけど、スティーブ・ジョブズさんは、技術もデザインも両方わかる方ですよね。センスもあって。そこまでいかなくても両方知っておいた方がいいのかなと。私は工学の修士しかなかったので、芸術の勉強をしたいなと思いました。
後藤
どう変わりましたか?
石垣
自分でデザインする所まで技能を高めるのは難しいのですが、どういうものがいいものか、どうしていけばいいのか、デザイナーがどういう思考で作っているかという事がわかるようになったので、コラボレーションがやりやすくなりましたね。
後藤
私なんかが言うのもあれですけど、社会人になってから学び直すのって大変だと思うのですが苦労もされましたか?
石垣
僕の工学スキルなんて埋もれちゃうわけです。でもデザインと併さることによって、災害即応とかのコンセプトが色々集まってくると日本に1人、世界に1人の人になれるかなと思って。例えばアナウンサーって言ったら沢山いるじゃないですか。その中でも、飲食わかる、ワインわかるとなってくると飛び抜けてきますよね。そういう中で、トップを目指したいなと私は思います。
(余談ですが、後藤さんはアナウンサーをされている傍ら、飲食店、ワインバーなどの経営もされています)
後藤
すごくわかりやすい例えで。笑
石垣
デザイナーのトップとか工学者のトップにはなれないかもしれませんが、IPS細胞の先生とかは凄いですけども。なかなか自分には難しいので、得意な分野を組み合わせて、その中で先端を目指したいなと思っています。先端というか、みんなに慕われて長く使ってもらえるものを作りたいなと思います。
後藤
昔からそんな柔軟な考えだったんですか?
石垣
色々なことに興味がある子供ではありました。
後藤
ちなみに、どんな少年だったんですか?
石垣
小学校ぐらいからパソコンはやっていましたね。今はあたりまえですけどね。普通にプログラミングでゲームを作って遊んでいました。与えられたゲーム(ファミコンとか)で遊ぶよりは自分で作ったゲームで遊ぶのが楽しかったですね。
後藤
すみません、失礼ですけど、先生おいくつですか?
石垣
44です。
後藤
えっ、完全にスーファミ(スーパーファミコン)の前の初期版が出た頃の世代ですね?それにはあまり興味を示さず、自分で作っていた?
石垣
そうですね、ファミコンは持っていなかったですね。パソコンは買ってもらいました。
後藤
相当珍しいんじゃ、、、ご両親の教育ですか?
石垣
かもしれませんね。苦笑
与えられたものっていうより、自分で作ったり分解したりするのが楽しかったです。そういう人、よくいますけどね、電通大だと。笑
後藤
そうなんですね。まだまだ知らない世界でした、私。子供のころのお話を伺っちゃいました。
AIR MONKEYを作ろうと思ったきっかけ
ではでは本題として、AIR MONKEYなんですけど、これを作ろうと思ったきっかけを教えてください。
石垣
まず真っ先にマスクがないということで、マスクの研究を始めて、オリマスクという製品を去年の5月ぐらいに市場に出して売れるようになって、作りたければ誰でも作れるようにもなりました。
医療機関などには寄付したりして、マスク不足は回復の兆しも見えてきたのでひとまずこれで仕事は終了かなと思っていた所、コロナの正体がだんだんわかってきて、飛沫感染に加えて、空気感染をするんじゃないかと言われ始めて。マスクも最初は要るとか要らないとか揉めてたんですけど、口から出る飛沫というのは不織布はもちろん、どんな種類のマスクでも効果はあるということがわかってきました。そしたら今度はどうも、飛んでいく飛沫だけではなくて、水蒸気のように空気を舞うマイクロ飛沫(タバコの煙のようなもの)、吐いた飛沫が蒸発してすごく小さな飛沫核、大きさでいうと5μ(ミクロン)以下のものなので、重力沈降しないんです。ずっと漂っている。。。タバコの煙ってずっと漂ってるじゃないですか。
後藤
タバコの煙って消えてなくならないんですか?
石垣
なくならないんです。風に乗ってどっかに行ってるだけなんですね。そのうち壁とか雨とかに当たって下に落ちる。そういうマイクロ飛沫によって、ウイルスが空間を漂うわけです。漂うってことは知られていたんだけど、新型コロナウイルスが空気を漂って感染まで引き起こすかどうかは諸説あったんですけど、最近はほぼ確実に空気感染するのではないかという事例が出てきています。変異種はかなり空気感染能力が高いようですし、むしろそちらが支配的なのではないかという研究も出てきています。空気感染への対策が必要だという考え方にシフトしてきています。そうすると、マスクとかアクリル板だけでは防御しきれないということなんです。
後藤
アクリル板を超えてしまう?
石垣
上を超えてしまうし、浮遊してるし。マスクも特殊なマスク以外は半分以上横から空気が入る。正しい付け方を啓蒙はしていますが、いくら正しくやっても7割、8割ぐらいかな。2割ぐらいは空気を吸ってるわけです。マスクをすることに意味はなくはないんですけど、100%防御は無理なわけです。じゃどうしようかということで、CO2センサーを付けて空気の滞りが起きたら外に排気しましょう、つまり換気しましょうということです。でも換気をしてもまだ残るかもしれないですよね。
後藤
100%はないんですね。
石垣
科学力の限界なんですけど。それに対して何ができるかというと、深層防護というんですが感染経路ごとに多重の防護手段を取りましょうという考え方です。なるべくリスクを減らしましょうと。
二次感染経路と防護策の分類
接触感染に関しては拭く、手を洗う、アルコール消毒など、飛沫感染に関してはマスクをする、アクリル板を使う、飛沫核感染に関しては換気をしましょう、CO2をモニタリングしましょう、それからUVで消毒しましょう、空気を浄化しましょうということが大事になってくるわけです。浮遊しているウイルスを非常に強い紫外線を当てて除菌してしまおうと。
空気清浄機との違い
後藤
一般的な量販店で売っている空気清浄機との違いを教えてください。
石垣
空気清浄機というのはマスクと同じ仕組みで、フィルターで空気をろ過して粒を取るという考え方です。それでもマイクロ飛沫は取れるのですが、なかなか空気を処理する量や能力が小さい。ろ過する際に圧力に損失があるので強い風量を出せない。風量をよっぽど大きくするとかありますけど、音がうるさくなったり金額が高くなったりします。空気清浄機の出口のところに手を当てるとわかるんですけど、そんなに大容量の風は出ていないと思います。
後藤
となりで寝られるぐらいですね。
石垣
家庭用の空気清浄機としてはあのぐらいが限度で、もちろん意味はあるんですけど。ということで、やりたいことはタバコの煙とか粉塵とかホコリを取りたいのではないので、今はコロナウイルスをなんとかしたいだけなので空気清浄機と併用してもいいのですがウイルスを除菌することだけを目的とするのであれば紫外線を当ててしまった方が効果的でないかと考えたのが、このAIR MONKEYです。
後藤
大学の准教授の他にヤグチ電子の取締役でいらっしゃる。ヤグチ電子工業(以下、ヤグチ電子)とはどういった会社なんでしょうか。
石垣
元々ソニーのカセット式のウォークマンとかわかりますか?
後藤
わかりますー!一斉を風靡したあれですね。
石垣
あれの製造工場としてスタートした工場で、盛田さんというソニーの創業者の一人が肝入りで作った会社でした。当時はかなりの量のウォークマンをあそこで作っていたんですが、今は産業の空洞化と言われるのですが、ほとんど海外に生産拠点が移ってしまい、ヤグチ電子も中国に行く話もあったんですけど、行き損ねて日本に残ったという会社です。だから日本のものづくりが衰退していくのを目の当たりにしていて、今はメインではアイリスオーヤマさんの下請けとしてお仕事させていただいています。
元々ポケットガイガーというセンサーを作った時に製造工場を探していて、前の会社で取引きがあったヤグチに声をかけさせてもらいました。クラウドファンディングでお金も集まっていたし、会社も辞めるのでこれ作ってくださいとお願いしたら、うちの役員にならない?って言われて。。。笑
震災もあって仕事もつらかった状態で、自社製品が持てるということで当時の工場長も嬉しかったんでしょうね。
後藤
ヤグチ電子さんの自社製品としては、その放射線センサーが第一号ですか?
石垣
そうですね。AIR MONKEYで4個目ですね。成功した中では、4個目ですね。
後藤
あれ、ということは?笑
石垣
失敗した商品もいっぱいあるので。
後藤
ちなみに差し支えなければ。
石垣
今はもう売ってないんですけど、モハラジオといって。
後藤
なにラジオですか?
石垣
モハです。モハラジオ。タモリさんみたいに電車が大好きな人たちの。
後藤
モハ!電車にモハとかって書いてありますよね。
石垣
よくわかりますね!モハとクハがあって、モはモーターのモで。モーターがあるモハに乗ると電車のエンジンの音(モーターの音)がちゃんと聞こえるんですよ。ヒューンって。
後藤
人間の耳で聞こえますか?
石垣
聞こえないですか?山手線とかで。
後藤
まったく意識をしたことがないです。笑
石垣
床下から聞こえるんですよ。音が電車によって違うんです。京急はドレミファインバーターといってドイツのシーメンス社のドレミファソラシドの音階になっているとか、東芝はこういう音、とかモーターを制御しているVVVFという機械の音を聴き比べるという、聞き鉄というジャンルが1,000万人位いると言われているんです。
後藤
知りませんでしたー。
石垣
大学にも鉄道研究会があるので、そういう子たちは趣味にしてるんですけど。
後藤
先生は聞き鉄なんですか?
石垣
機械全体好きですから。音真似をするイベントとかあって、元カシオペアメンバー(の向谷実さん)ともコラボしているスーパーベルズさんという山手線ラップとかやってる人たちなんですけど、コロナ前に彼らのやっていたイベントで音真似というコーナーがあって、電車の音を口真似だけで披露するという。山手線のアナウンスしてらっしゃる方がMCでスーパーベルズさんとライブをやってました。
で、僕が作ったモハラジオは電車の床に耳を付けなくても、モーターの音を電磁界(磁石の揺らぎ)で増幅してヘッドホンで聞けるようになっているというものです。
後藤
笑笑笑。すき間産業的な。
石垣
深夜番組に出たりとか、イベントで使ってもらったりしていたんですけど、今部品が入手できなくなっちゃって販売中止なんですけど。でも今でも欲しいというお手紙いただきます。
後藤
部品の問題なのであって、需要はあったってことですか?
石垣
そうですね、やっぱり1000万人ぐらいあったと思いますね。
後藤
失敗というには惜しいですね。
石垣
タモリ倶楽部に出れればね。笑
今後やりたいこと
後藤
ヤグチ電子さんで失敗と言われているモハラジオはじめ、色々な種類の商品を出していると思いますが、今後やりたいと考えてらっしゃる事はありますか?
石垣
最近、医療機器の製造を始めました。子供の病気で弱視というものがあるのですが、その治療に使える機器です。すでにすごく好評でよく出ています。医療機器は直接人の役に立てるので、今後も新しいもの、クリエイティブなものを作っていきたいと思っています。
今、インドと共同研究をしていて、病院で使う酸素吸入器の酸素の発生器が足りない状況なんです。コロナ患者が1日20万人位いるのに全然酸素吸入できないという問題が起きています。酸素は空気中に20%ぐらいあるので、その酸素だけを凝縮すれば酸素を作れる。PSA法というやり方なのですが、割と簡単にできるのです。それをなんとかして安くしてインドに持っていきたいと思っています。
後藤
人口呼吸器とは違うのですよね。あれが不足しているというニュースもありましたよね。
石垣
ありました、でも人口呼吸器とは違います。今必要なのは軽症の患者さん用、呼吸がうまくできない方用のものです。ドラマで鼻につけているやつです。
後藤
あー。線のチューブみたいなものですね!
石垣
その酸素発生器がインドは自国で作れないらしくて輸入に頼っているのですけど、全然足りないらしいです。品質がすごく悪いものも入ってくるようで。
後藤
もしやるとしたら、輸出か、インドでも作れる仕組みを作るということですか?
石垣
直近では中古で使ってないものがあるので、メンテして寄付しようという動きをしているのと、効率がいいものを研究して正におっしゃったようにメイドインインドでできるように技術を移転していくということをやりたいと思っています。
後藤
すばらしいですね。マスクの時もしかり。すべて作れるようにするという。次世代のスティーブ・ジョブズさんはやっぱり違いますね。笑
石垣
スティーブ・ジョブズさんね、寄付してもらいたいですね。お金があればもっと早くできるので。イーロンマスクさんとかね。笑
後藤
今後に注目ですね!
三密とCO2濃度の関係
では改めてAIR MONKEYなのですが、そもそも三密とCO2の濃度というのはどういう関係があるのでしょうか?
石垣
人が吐く息というのはCO2がたくさん入っていて、ppmというCO2の濃度を示す単位があるのですが、だいたい30,000とか40,000とかとても濃い濃度なのです。屋外の濃度はだいたい400ppmなので2桁違います。密閉、密集した部屋の中で、僕らがいて呼吸するだけでどんどん部屋の中のCO2濃度は上がるのですが、窓やドアを開けてフレッシュな空気を取り込むと一気にCO2濃度は400近くまで下がります。例えば、もし僕が感染していた場合、僕の吐いた息というのはマイクロ飛沫が含まれます。センサーではウイルスそのものは測れないけれどその代わりにCO2濃度を測ることで僕が吐いた息が部屋の中にどれだけ滞留しているのか、という指標になるのです。感染者がいた場合、1,000ppmを目安としてその値を超えたらウイルス飛沫が滞留しているかもしれないから換気してリスクを下げましょうというのがCO2濃度を測定する目的ですね。
後藤
CO2の濃度というのが私の中ではあまり聞きなれないもので、例えば私たちがちょっと息苦しいなと思っている時というのは相当濃度は高いものなのでしょうか?
石垣
人によって違うのですが、何千ppmぐらいになると思います。
後藤
国が推奨している数値(1,000ppm以下)よりはるかに上なのですね。
石垣
なかなか体感しにくいんですよね。
後藤
ホストクラブとかライブハウスでも試験されたと聞いています。
石垣
はい、ホストクラブやライブハウスに限らず地下の店舗をいろいろ測りました。やはり地下はCO2濃度が高くなりますね。
後藤
やはり換気がしづらいからですか?
石垣
そうですね。大きな音を出すので近隣の迷惑になっていたりとか、風俗営業法の関係とかで窓が開けられないとか。場所と事情に応じて換気が難しいところがあるんです。あと、論文によると1000ppmを超えると意思決定能力が下がると言われていて。本人が気づいているかわからないのですけど、テストの点数が悪くなるということがわかっています。1000ppmを超えると人間の活動や作業効率が落ちます。
後藤
先日、仕切りを付けると逆に感染のリスクが高まるという発表がされましたが!こちらについても教えて下さい。
石垣
仕切りは飛沫を抑えるためのもので、マイクロ飛沫は空気と一緒に滞留しますから、あまり高い仕切りを付けると仕切りで囲われた空間が密室みたいになっちゃうんです。その中でクラスターが起きた事例が起きています。
後藤
飲食店で良く見る顔の高さぐらいのものはどうですか?
石垣
そうそう、高さも顔ぐらいで幅も人の肩幅ぐらいのものが一番よくて。心配だからといって覆いすぎるのは逆効果です。
後藤
それはみんな知らないですね。
石垣
うすうす換気が悪くなっていると思っている人もいるみたいですけど。でもやはり(高い)仕切りの中はCO2も測ると高いです。
後藤
仕切りはマスクと同じように飛沫を防止するというものということですね。やはり第3フェーズ(飛沫核感染を防護すること)に入ってきているということですね。
浮遊細菌に対して紫外線で対抗する
石垣
(AIR MONKEYの紫外線による除菌は)昔から知られていた方法です。今は発売されてないですけど、有名メーカーもこういった商品を出しています。浮遊細菌に対して紫外線で対抗するという事です。エビデンスもあるので方法としては確立されているものです。
後藤
ちなみに、先生は、AIR MONKEY(紫外線除菌)と一般的な空気清浄機は、どちらをお使いですか?もしお持ちでなければ、AIR MONKEY、欲しいですか?
石垣
AIR MONKEY、欲しいですね。というか置いてます、家に。
後藤
お!では空気清浄機は使っていないんですね!
石垣
自宅は吹き抜けで高さがあるので空気清浄機では風量が弱いので、サーキュレーター代わりにAIR MONKEYを置き、空気清浄機と併用しています。
後藤
併用ですか!
石垣
対象によって使い分けるのが良いかと。新型コロナにはAIR MONKEYで。最近来ている黄砂には、空気清浄機、というように。
後藤
AIR MONKEYはUV除菌ですが、開発段階で、オゾン除菌は案にはあがらなかったんですか?
石垣
オゾンも考えましたが、オゾンだけ出ればいいのですけど、その時はオゾン以外の窒素酸化物(NOx)やNOとかが出て体に悪いのです。
後藤
どうなっちゃうのですか?
石垣
車の排気ガスの規制と同じで、頭が痛くなったりとか。管理が難しいですね。
後藤
いくつのバリエーションの中からUVライトに行き着いたのですか?
石垣
オゾンとUVを直接照射する方法(人がいない時)と密閉して空気を除菌するという3種類の中から選びました。
後藤
アイディアから商品化までどのぐらいかかりましたか?
石垣
第一号を作るまでは2、3ヶ月、商品化までは9ヶ月ぐらいですかね。
後藤
ところで先程の話にもありましたが、インドは個人的に行かれるのですか?
石垣
病院と弱視の治療の仕事で。コロナ前は毎月行っていました。
後藤
お仕事の関係で行かれていてハマられた。インドのライフスタイルもお好きということですね。
石垣
はい。
後藤
勝手なイメージですが、インドはケ・セラセラなイメージあります。何でもすぐ行動される先生とあまりリンクしないのですが...
石垣
インドのどこかにもよりますけどね。英語のスピードは早いですね。
後藤
私、幼少期、アメリカで育ったのですが、インド人の英語は聞き取れないです。
石垣
脳のクロックが早いんですよ。
後藤
インドの方って、計算が早いと聞きました。関係あるんですかね?先生は、インドの影響で脳のクロックが早くなったのですか?
石垣
セコムはせっかちな会社でしたからね。
後藤
それは迅速ってことでいい方向のせっかちですよね。セコムの「25分で駆けつける」のような、先生の独自のルールは何かありますか?
石垣
世界どこでも25時間以内には行きます。
後藤
本当ですか?
石垣
僕が今まで行った場所で一番遠かったのがルワンダで、25時間で行けたので、それより遠いところはないかなと。笑
後藤
思い立ったら吉日じゃないですけど、ほんとにすぐ動くんですね。今後もそのモットーで世界中25時間以内に行っていただいて、新商品も期待しています。
石垣
トレたまに出られるように頑張ります。笑
後藤
笑。今日は楽しくたくさんお話うかがわせていただきました。
ありがとうございました。
後藤 麻里奈
ごとう まりな
プロフィール MC・リポーター
1歳~9歳までアメリカ・テキサス州で育ち、バイリンガルタレントとして活動。愛称はテキサス。
下北沢で飲食店を経営。ソムリエならぬ、自称「呑ムリエ」として自然派ワインを店で提供。
下北沢でインバウンドツアー「Shimokitazawa Underground Tour」を立ち上げる。
下北沢のクラウドファンディング「save.shimokitazawa」を主催。
PRイベントMCを中心に活動。
経歴
TBS 王様のブランチ リポーター (2009~2013)
NHK高校講座理科総合A MC (2010~2013)
Eテレ しごとの基礎英語 MC (2013~2014)
NHK ケータイ大喜利 ゲスト(2014)
テレビ東京 ドライブ A GO! GO! ゲスト (2011/2012)
放送大学 認知行動療法 MC (2014~2015)
チバテレ ハピはぴ・モーニング~ハピモ~ MC(2013~2014)
NHK 青山ワンセグ開発 「モンスター清掃員」 主演 (2014)